環境部の小縣です。
主にCFDなどのシミュレーションを担当しています。
冷房設定温度
最近、節電のために冷房設定温度を上げるオフィスが増えています。冷房設定温度を上げると確かに省エネになりますが、暑くなったと感じている人も多いのではないでしょうか。そこで注目されているのが卓上扇風機。当たり前ですが、扇風機の風が体に当たると涼しく感じます。では、この扇風機を利用することで、実際にどの程度快適になるのでしょうか?
建築分野では、快適性を表わす指標としてPMVがよく用いられます。PMVとは、Predicted Mean Voteの略で、日本語では予測平均温冷感申告と呼ばれています。1000人以上の被験者実験によって得られたデータをもとにして作られた快適性予測手法です。+3(非常に熱い)~-3(非常に寒い)の7段階で快適性を表し、PMV=0に近いほど快適ということになります。ある空間のPMVを予測するには、温度・相対湿度・風速・平均放射温度・代謝量・着衣量の6種類の条件が必要になります。
それでは、冷房設定温度26℃の場合と、冷房設定温度28℃の場合での快適性を比較してみましょう。
室温・風速・PMVの関係を以下のグラフに示します。①が冷房設定温度26℃扇風機なしの場合、②が冷房設定温度28℃扇風機有りの場合です。扇風機ありの場合の風速は0.6m/s程度と考えます。それぞれのPMVをみると、①は0~1の間、②は最も快適とされる0付近になっていることがわかります。
つまり、扇風機を付けることによって0.6m/s程度の風が体に当たると、室温が28℃でも26℃の時と同等以上の快適感が得られるということになります。これより、冷房と扇風機を併用することは、省エネと快適性を両立させる有効な手段であるといえます。
我慢しない節電
一般的に、節電には我慢というイメージがありますが、以上のようにちょっとした工夫で快適性と省エネを両立させることができます。ここでは、扇風機を例に挙げましたが、身の回りには他にも工夫できることがたくさんあると思います。皆で知恵を出し合い、快適な節電を実現しましょう!
環境部 小縣 信也
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