2012年4月18日水曜日

理想の空調空間

環境部の細野です。
今回は「理想の空調空間」について書かせていただきます。

このテーマは、スペインを旅行したときの体験がきっかけです。

スペインではマドリードからトレド、グラナダ、バルセロナと各都市を転々とし、各都市のカテドラルを訪れました。
カテドラルに入ったときにまず感じたことは「寒い」ということでした。外は半袖で十分過ごせるくらいの気候なのに、カテドラルの中は上着を羽織ってもまだ寒いと感じるくらいでした。もちろんエアコンが効いているわけはありません。

その理由は建物外壁の熱容量が大きいため、室内側の躯体表面温度が低くなり、熱放射により熱が奪われるためです。

カテドラルは石造りで、石の熱容量は種類にもよりますが、おおよそ500kcal/m3Kで、木材や石膏ボードの2倍程度の熱容量があります。つまり、石の方が2倍温まりにくいということです。さらに、壁の厚みは1mぐらいあったと思うので、日本の一般的な建物とは比較にならないくらい熱容量が大きいのです(日本の住宅で使用される木材や石膏ボードは200-270kcal/m3・k程度)。

僕はこのカテドラルの内部が「理想の空調空間」なのではないかと思いました。空調してないのに「空調空間」というのは少し変な気もしますが、言いたいことはつまり、「空調していないのに温度がコントロールされている」ということです。もちろんスペインの気候や開口部が極めて少ないことも影響しているはずですが、熱容量によって、カテドラルの荘厳さを携えた「寒さ」はコントロールされていました。

カテドラルの外装
















同じスペインのサクラダ・ファミリアの内部も訪れましたが、他のカテドラルが持つ雰囲気を感じませんでした。それは「寒さ」を感じなかったからです。その理由は、開口部が多く、内部にたくさんの人がいたためだと思われます。
この「寒さ」を感じさせずに人々を圧倒するその荘厳な雰囲気が、サクラダ・ファミリアが世界中から注目されている理由の一つなのかもしれません。
もしかすると、この「寒さ」を感じないサクラダ・ファミリアは、自然との調和を目指したガウディにとっての「理想の空調空間」だったのかもしれません。

サクラダファミリアの内装
















細野 和則

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