2012年1月13日金曜日

カーテンを閉めると結露する!?

環境部の小縣です。
今回は窓ガラスでの表面結露について考えてみます。

1.はじめに
 結露は、湿った空気が冷たい固体表面に接触することによって発生します。結露というと、冬の窓ガラスに水滴が付着する現象を思い浮かべる方が多いと思いますが、夏に缶ジュースの表面に水滴が付着するのも結露現象の一種です。
 建築分野では、結露を発生部位の観点から表面結露と内部結露の2つに分類します。表面結露とは構造体表面における結露のことを指し、内部結露とは構造体内部での結露のことを指します。私たちが普段生活する中で目にするのは、ほとんどが窓での表面結露です。今回は、この窓ガラスでの表面結露について考えてみたいと思います。

2.結露が発生しやすい条件
 窓ガラスでの結露は、ガラスの表面温度が低く、周辺空気の相対湿度が高い時に発生します。相対湿度が高くなる最も大きな要因は、室内に水蒸気発生源が存在することです。水蒸気発生源と言えば、調理や加湿器、浴室などが代表的な例ですが、意外と見落とされがちなのが、室内干しの洗濯物、観葉植物、人体、石油系ストーブです。これら発生源は、水蒸気発生量に違いはありますが、全て相対湿度の上昇に寄与します。一方、ガラス表面温度を低下させる要因は外気温度です。外気温度が低いほどガラス表面温度も低くなります。そして、この表面温度の低下を助長するものがあります。それがカーテンです。

3.ガラス表面温度とカーテンの関係
 カーテンには、僅かですが断熱効果があります。カーテンを閉めると室内から室外への熱の流出が抑えられ、暖房負荷は減ります。しかし、断熱効果があるということは、熱の通過を妨げるということでもあります。以下の図は、外気温が0、室内温度が20の時のガラス室内側表面温度を示しています。

カーテン有りの場合のガラス室内側表面温度は4.1℃であり、ガラスのみの場合の6.2に比べ約2低くなっています。これは、カーテンを閉めると熱の流れが妨げられてしまうため、ガラス表面まで到達する熱量が減ってしまうからです。断熱性能を向上させるカーテンですが、結露に対してはマイナスに働いてしまいます。では、断熱性能の向上と結露危険性の低下を両立させるにはどうすればいいのでしょうか?
 カーテンではなく雨戸を閉めるというのが一案です。カーテンには断熱効果があると述べましたが、雨戸にもカーテンと同等の断熱効果があります。雨戸を閉めた場合の表面温度を以下に示します。
雨戸有りのガラス室内側表面温度は10.8℃であり、ガラスのみの6.2℃に比べ約4℃高くなっています。これは、雨戸を閉めることにより、雨戸から外へ逃げていく熱が減り、雨戸よりも室内側にあるガラスの温度が上昇するためです。よって、雨戸であれば、断熱性能向上と結露危険性の低下を同時に満足させることができるということになります。

4.その他の結露対策
 前章では、ガラス表面温度の低下を防ぐ方法の一例を紹介しましたが、もちろん室内の相対湿度を低減させることも結露対策として有効です。まず水蒸気発生源を特定し、その発生源からの水蒸気発生量を低減させることができるかを検討します。石油系ストーブを使っているのであれば電気式暖房器に変更し、加湿器による加湿を行なっているのであれば加湿量を見直します。人体や観葉植物からの水蒸気発生はコントロールするのが難しいため、適度に換気を行うのが良いでしょう。
今回、結露が発生するのは高い相対湿度低い表面温度の条件が揃った時であると紹介しましたが、実際の建物では様々な要因が複雑に重なり合い結露が発生します。しかし、どのような結露もまず、水蒸気発生源と温度低下の要因を調査してみて下さい。

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