2012年4月25日水曜日

3DPDFによるCFD計算結果の可視化


環境部の小縣です。
主にCFDなどのシミュレーションを担当しています。
今回は、CFD計算結果を相手に伝える際に役立つ「3DPDF」というツールを紹介します。

CFDとは、コンピュータを用いた流体解析のことであり、弊社では室内気流分布や都市の風環境を予測・評価するために用いています。CFDの計算結果を確認する方法としては、専用の可視化ソフトを用いて、温度分布図や風速分布図を描画させるのが一般的ですが、その結果を第三者へ伝える必要がある場合には、jpegなどの画像に出力し報告書などに貼り付けます。しかしこの方法の場合、3次元でCFD計算を行っていたとしても、最終的に相手に伝わる時点では、画像という2次元の情報になってしまいます。

そこで、この問題を解決してくれるのが「3DPDF」です。PDFといえば、アドビシステムズによって開発された電子文章に関するフォーマットのことですが、実は、このPDFに3次元版があるのです。以下の場所にサンプルをアップしてありますので、ダウンロードして最新のAdobe Readerで開いてみて下さい。

≪3DPDFを用いたCFD計算結果可視化例:人体周りの温熱環境解析≫
風速分布:http://www.ptmtokyo.co.jp/blog/humanEnvironment_U2.pdf
温度分布:http://www.ptmtokyo.co.jp/blog/humanEnvironment_T.pdf

これらのファイルが問題なく開くと、人体モデルとその周りの気流および温度分布に関する画像が表示されます。3DPDFでは、従来の電子文章とは異なり、表示されている画像をCAD感覚で回転させたり、拡大・縮小させたりすることができます。

この「3DPDF」は、多くの方が普段から使っているAdobe Readerで表示することができます。つまりこの3DPDF形式を用いれば、専用の可視化ソフトがなくても、CFD計算結果を3次元情報として第三者に伝えることができるのです。例えば、CFD計算の依頼者へ計算結果を説明する際に大いに役立ちます。

環境部  小縣 信也
http://www.ptmtokyo.co.jp/

2012年4月18日水曜日

理想の空調空間

環境部の細野です。
今回は「理想の空調空間」について書かせていただきます。

このテーマは、スペインを旅行したときの体験がきっかけです。

スペインではマドリードからトレド、グラナダ、バルセロナと各都市を転々とし、各都市のカテドラルを訪れました。
カテドラルに入ったときにまず感じたことは「寒い」ということでした。外は半袖で十分過ごせるくらいの気候なのに、カテドラルの中は上着を羽織ってもまだ寒いと感じるくらいでした。もちろんエアコンが効いているわけはありません。

その理由は建物外壁の熱容量が大きいため、室内側の躯体表面温度が低くなり、熱放射により熱が奪われるためです。

カテドラルは石造りで、石の熱容量は種類にもよりますが、おおよそ500kcal/m3Kで、木材や石膏ボードの2倍程度の熱容量があります。つまり、石の方が2倍温まりにくいということです。さらに、壁の厚みは1mぐらいあったと思うので、日本の一般的な建物とは比較にならないくらい熱容量が大きいのです(日本の住宅で使用される木材や石膏ボードは200-270kcal/m3・k程度)。

僕はこのカテドラルの内部が「理想の空調空間」なのではないかと思いました。空調してないのに「空調空間」というのは少し変な気もしますが、言いたいことはつまり、「空調していないのに温度がコントロールされている」ということです。もちろんスペインの気候や開口部が極めて少ないことも影響しているはずですが、熱容量によって、カテドラルの荘厳さを携えた「寒さ」はコントロールされていました。

カテドラルの外装
















同じスペインのサクラダ・ファミリアの内部も訪れましたが、他のカテドラルが持つ雰囲気を感じませんでした。それは「寒さ」を感じなかったからです。その理由は、開口部が多く、内部にたくさんの人がいたためだと思われます。
この「寒さ」を感じさせずに人々を圧倒するその荘厳な雰囲気が、サクラダ・ファミリアが世界中から注目されている理由の一つなのかもしれません。
もしかすると、この「寒さ」を感じないサクラダ・ファミリアは、自然との調和を目指したガウディにとっての「理想の空調空間」だったのかもしれません。

サクラダファミリアの内装
















細野 和則